今回のテーマは、サービス付き高齢者向け住宅と介護付有料老人ホームとの違いについてお話します。

前回の第3回目でもご説明しましたように、厚生労働省の有料老人ホーム設置運営標準指導指針では、有料老人ホームを、次のように3分類しています。

“介護付き”は「介護保険の特定施設の指定をうけたもの」“住宅型”は「訪問介護等外部のサービスを利用するもの」“健康型”は「介護が必要になった場合、退去するもの」とされています。

しかし、「住宅型」・「健康型」といいながら、何故、「介護型」とは言わないのでしょうか?

介護保険制度が始まる前の1999年までの有料老人ホームのイメージは、豪華な雰囲気のデラックスホテルのようなフロント、吹き抜けのロビー、ビリヤードや豪華レストランを併設した入居一時金○億円という代物で、一部のお金持ち対象の建物でした。
介護の必要性は考慮されてはいませんでした。
しかし、2000年の介護保険制度が始まると、介護が必要な高齢者向けの有料老人ホームが増え始め、厚労省は、2002年にやっと有料老人ホームの分類を行いました。

介護が必要な高齢者向けは「介護型」、入居時はお元気で介護が必要になれば、自宅と同じように外部からの介護サービスを受けられる「住宅型」、健康な高齢者が入居でき、介護が必要になれば退去する「健康型」の3つに分類しました。

「介護型」は介護保険の在宅サービスの内の、『特定施設入所者生活介護』(2006年からは「特定施設入居者生活介護」に名称変更)を利用するため、この場合のみ、介護付・ケア付と表示してもよいとされました。
その為、「介護型」ではなくお墨付きの「介護付」と表示する場合が多いようです。


介護付有料老人ホームとは


「介護付有料老人ホーム」は、もともとは、介護が必要な高齢者を入居させ施設スタッフによる24時間365日の介護サービスを行なう「介護専用」の居住系施設です。
1日の介護サービスは、定額制の包括報酬ですから、深夜でもナースコール1本で施設スタッフを呼び、トイレ介助などの介護サービスが受けられ、その費用は、「包括報酬」という1日いくらという定額制の支払い方式です。
ですから、家族の方は、安心して預けることができ、また、支払も一定ですから  毎月の家計も安定しています。

/pic/42/ori/20150525101311.jpg

「介護付」は「特定施設入居者生活介護」の指定をもらい(2006年からは総量規制で開設に規制がかかる)運営されますが、全室満室にするには、時間がかかってしまいます。
そこで、運営事業者は、「混合型」を開発しました。
混合型とは、介護専用型と住宅型のミックスさせたものです。
新聞広告等で、介護付有料老人ホームなのに、入居時条件として「自立」「要支援」「要介護」とあるものです。
プラン的には、低層部に「介護付」部屋の広さ18m2タイプのフロアを、中・高層階には「住宅型」部屋の広さ30~50m2タイプのフロアを配置し、介護度が重度化した場合に、「介護付」フロアに移り住むことで、終の住家として人気が高く、早いうちの満室となる傾向にあります。

 また、「特定施設入居者生活介護」もそれまでの「内部型」(施設スタッフによる介護サービス)に「外部型」(外部事業者スタッフによる介護サービス)が2006年から始まりましたが、これは、2006年から始まった「高齢者専用賃貸住宅」に介護サービスが適用できる「適合高齢者専用賃貸住宅」や「ケアハウス」に運営事業者に負担なく、介護サービスができるように配慮した仕組みでした。
外部事業者に介護サービスを委託するものですが、ケアプランは施設のケアマネージャーが作成する必要があります。
内部型より介護報酬が低く設定されている為、わざわざ事業展開する事業者は少なく、また、軽度のうちは、在宅サービスを受ければ問題がないため、「外部型特定施設入居生活介護」は普及していません。


介護付有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違いは


国土交通省が考えるサービス付き高齢者向け住宅とは、お元気な60歳以上の高齢者がご自宅と同じように自由な生活を送れ、かつ、ヘルパー2級以上の資格をもつ管理人による毎日の安否確認が行われる集合住宅を想定しています。

介護が必要になれば、ご自宅と同じように在宅サービスの訪問介護や通所介護を利用するというものです。
しかしながら、このようなサービス付き高齢者向け住宅は、3割もありません。

ほとんどが、介護付有料老人ホームと同じような介護型サービス付き高齢者向け住宅(介護付もしくはケア付とは明示できません)です。

/pic/42/ori/20150525101441.jpg

介護付有料老人ホームは介護保険制度での「特定施設入居者生活介護」を利用しますが、介護型サービス付き高齢者向け住宅は、訪問介護や通所介護の在宅サービスを利用する点が違います。

介護型サービス付き高齢者向け住宅でも、在宅サービスの利用方法で、いつでも安心して介護サービスをうけられるかで運営に雲泥の差が生じつつあります。

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大草俊夫 さんのプロフィール

サ高住、高齢者向け住宅、介護・福祉のコンサルタントです。
大草俊夫

大草俊夫
(おおくさとしお)

オーエイチ・サポート株式会社
長崎県生まれ

一般社団法人 全国介護福祉事業普及振興機構 理事長

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