ある日突然に


 人の死は突然やってくるので何をどうしたら良いのか分からないのが当たり前である。相談できる人が近くにいなければ、途方と悲しみに暮れるだけになってしまう。

 何とか葬儀は周囲の人に教えてもらいながら終えたとしても、資産や負債の存在、遺産の分割などは他人に相談できることではない。どうすればいいのと位牌と遺影に向かって話しかけても答えは返ってこない。
 もし生前に故人のメッセージがあればどれほど助かるだろうか。故人の意思に従って看護や介護、葬儀や法要、遺産分割や形見分け、資産の種類と保管場所等を知ることができれば、迷うことなく故人の死を受け入れ、相続手続きがスムーズに行なえるだろう。



エンディングノートは故人のメッセージ


/pic/4/tmb/20110724204243.jpg 故人の意思の伝達方法として遺言がある。遺言は満15歳以上の責任能力のある者ならば、誰でも作成することができる。遺書とは異なり記入する内容にいくつか限定されている。
 例えば相続人の廃除と廃除取消、相続分の指定および指定の委託、遺産分割方法の指定および指定の委託、遺産分割禁止、遺贈、子の認知等である。他にもまだいくつも規定しているが、故人である被相続人があの世からこの世の誰に何をどのくらい分け与えるかを言い伝えたものだ。これによりこの世の人たちが迷うことなく、争うことなく法的効力の下で資産を継承することができる。
遺言には法的効力があるゆえ作成方法が厳しく限定され、さらに裁判所で検認を受けなければならない場合があり、何かと作成には面倒である。
 近頃故人のメッセージを伝える方法として注目されているのが「エンディングノート」である。書店でも数多く置いているので、手に取って見た方もいるだろう。まだ見たことのない人のためにその概略を紹介しよう。家計簿と同様に書き込み形式になっているので、項目にしたがって記入していくことになる。

 まず自分が病気や事故にあった場合のことである。誰に世話をして欲しいか、自身の身体の特徴や病歴等を記入する。更に病状が悪化して回復の見込みがなくなった場合、介護する場所、余命の告知の有無、その後どのように過ごしたいかを記入する。また脳死状態になったら、延命措置の有無、臓器提供や献体について記入することができる。
 続いて自分の所有する資産について記入していく。預貯金の金額と口座番号、株式の銘柄および株数、債券や投資信託も同様である。保有する不動産においては、登記をもとに土地や建物の住所や名義などを記入する。
 保険も大切な資産である。保険種類、保険金額、保険会社、受取人、証券番号など生命保険と損害保険に分けて記入する。クレジットカードなどもカード名、カード番号、カード会社等をまとめておく。
 資産はプラスの資産と共にマイナスの資産である借金があれば明らかにしておく。相続になればプラスもマイナスも合わせて継承することになる。もし保証人になっていればノートに記録しておく。
 そしてこれらの資産を誰に受け取って欲しいかを表す。確実に実行されるには遺言書になるが、ノートには希望をまとめておくことができる。
 葬儀、お墓については、葬儀の予算、会場、喪主、使用する遺影、飾り付けや会場で流す音楽、死装束、死亡通知の送付先、お墓、納骨、法要、仏壇、墓参りなど記入することができる。
 ノートによってはここでまとめた内容を元に遺言の作成に発展したり、これまでの人生を振り返り自分史の作成につなげたりすることもできる。
 自分の記憶と記録を整理し、書き記していくことで、これまでの人生の振り返りこれからの人生をどのように過ごすか役立つことになる。自分が亡くなった後資産の分割で争うことも防止できる。しかし、項目に従って記入することでは良いことばかりではなさそうだ。

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