/pic/40/tmb/20120302085100.jpg 最近、「当社の物件は建築コストを抑えているから、他のメーカーよりも安く上がりますよ」と謳い文句にするメーカーが出てきました。

 昔から「日本の住宅は世界で一番高い」といわれてきました。バブル崩壊後、その傾向はやや収まったものの、それでもまだ高いといわざるを得ません。

 皆さんは、ハウスメーカーの建築原価はご存知でしょうか。
現在、坪15万円です。
日本の建築技術は高レベルなので、短期間で建てられるような軽量鉄骨プレハブなどの効率的な工法を生み出しました。
それを工場で大量生産し大量販売しているので、皆さんの想像以上にずっと原価は安いのです。

 ところが売価は45万円から60万円ほどになります。
これは外国にはない日本だけの特殊な「販売方法」が原因です。
ハウスメーカーでトップグループのA社ですが、大量販売のためにテレビ宣伝ばかりしています。カタログパンフレットなどもお金がかかっていてりっぱなものです。
そしてこの1社だけでも6000人の営業マンがいて大量販売しています。

 さてここからが問題なのですが、大量販売するためには、大量生産しなければなりません。
ですから建築の工法はどこの会社も軽量鉄骨(プレハブ)や重量鉄骨や木造ばかりを工場で生産して、現場で組み立てる方式がほとんどです。
工期が3倍以上かかるコンクリート造の建物はどこの大手メーカーも販売したくないのが本音です。
3倍も工期がかかれば同じ1年間の間に3分の1しか生産できません。
そうすると売上も3分の1になってしまうので、テレビ宣伝に頼る大手ハウスメーカー・大手アパート会社は倒産してしまう構造になっているのです

 このようなことは日本以外では全く考えられません。
大企業の都合で大量生産された賃貸住宅が、本当に入居者の快適な住いになっていれば、私は文句は言わないのですが、上下階の音と臭いや階段の騒音など防音性の低いプライバシーのない生活を強いられるので、欠陥住宅と言われても仕方がありません。
それに比ベコンクリート造のアパートやマンションは防音性や気密性に優れ、1つの屋根の下に数世帯が住む賃貸住宅にはもっとも適した建物だと思うのですが、ハウスメーカーや大手アパート会社の都合でほとんど建てられていないのが現状です。もし建てたとしても異常に高い建築費となってしまいます。

 原価15万円のものがどうして45万円から60万円になるのかを説明します。
15万円に1.3倍を4回掛けると42万8千円です。
1.4倍を4回掛けると57万6千円になります。これが大手メーカーの価格の構造です。
原価に本社経費を1.3倍。工場経費1.3倍。県別ディーラー経費1.3倍。施工会社経費1.3倍です。どうしても大企業は経費のかかる構造になってしまっています。
単純に1.3倍ではなく、1.2倍や1.4倍のこともありますが、この計算は間違ってはいません。
これはもう業界では隠しようのない事実として専門家の間では常識になっていることで、知らないのは一般消費者だけかもしれません。

 ローコスト住宅を世界一高値で売っている。
これが日本の住宅業界の現状です。

 これは世界的に見ても珍しい例です。
ハウスメーカーという概念が海外ではなく、地域の職人さんたちが消費者から直接工事を請け負うので、原価に近い値段で家を建てられます。


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 建築コストが高くなれば、オーナーさんの負担額が増えます。
そしてオーナーさんは家賃を高めに設定することで負担を減らそうとするのです。
これが日本の賃貸住宅が劣悪な物件であっても家賃が高い理由の1つです。

 「家賃を高めに設定すれば、建築にかかった費用はすぐに回収できますよ」とハウスメーカーは言うでしょうが、1点だけ忘れてはならないことがあります。

 日本の住宅は住めば住むほど建物が悪くなって価値が下がるので、つねに入居者を獲得するには家賃を下げていかなければなりません。近くに新築物件ができたなら、かなり値段を下げないと入居者は確保できないでしょう。

 いくら家賃を高く設定して高い建築費をまかなったとしても、金融機関から借りた借入金を完済する前に、家賃収入が減少して持ち出しになってしまうのです。
この構図で儲かるのは建物を高い値段で建てたハウスメーカーだけです。
ローコスト住宅を非常識な金額で売り、売った後は管理を別会社に移してしまうので、入居者確保に責任を負うこともしません。

 オーナーさんが「空室が出てしまった」といえば、「家賃を下げればいいんじゃないですか」とハウスメーカー系列の管理会社はこともなげに言います。はなからオーナーさんの生活や返済のことなど考えていないのです。

 この構図を打開するのは簡単です。
ローコストで賃貸住宅を建て、家賃を最初から安く設定する。
そして借入金を減らして月々の返済をそれに応じて少なくすれば、地主さんやオーナーさんの賃貸経営はうまくいくのです。
そのためには坪当たりの建築費は絶対に安くすること。
そして「安かろう、悪かろう」ではなく、入居者の望む高級で快適な賃貸住宅を建てることです。


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久保川 議道

久保川 議道
(くぼかわ よしみち)


アサヒグローバルホーム株式会社 取締役会長
ゴールドトラスト株式会社 取締役会長
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