境界でモメた場合に採ることができる選択肢は3つ。
①裁判
②筆界特定(筆特)
③調停
100点満点を目指すなら①の裁判ですが、これには時間も労力も要します。
そこで、「この項目が決着するなら70点でいい」というような場合には、
②の筆特や③の調停(←今回のコラム)を選択することができます。
コラムにあるように、調停は、越境物がある場合などに有効ですね。
筆界(=公法上の境界)がハッキリして越境が判明した場合、
それぞれのゴールはこんなイメージになります。(ちょいデフォルメ)
①裁判:「切れ。」
②筆特:「筆界はここ。越境については改めて裁判してね。」
③調停:「越境について引き続き話し合いを続けましょうか?」
調停は、お互い相手の事情も聞きながら着地点を探しますから、
決着した後の人間関係が修復されやすいという特長があります。
まさに相隣関係の代表ともいえる境界問題にうってつけ!(^^;
ただ、ひとつだけ大きなハードルがあります。
相手方が調停に応じてくれなければゲームオーバー。
裁判のように出頭を強制できないんですね。
それでも、最初のハードルさえ乗り越えれば、建設的な解決が待っています。
大阪では、「
境界問題相談センターおおさか」が承りますよ。
お困りの方は、一度相談してみてくださいね。
【「境界問題相談センター」で土地の境界問題を解決 裁判との違いは?】
各都道府県にある土地家屋調査士会では、裁判以外で境界問題を解決する「境界問題相談センター」(ADR)を設置する。2017年12月時点で、県庁所在地を中心に全国50ある。
東京土地家屋調査士会(東京都千代田区)の味田昌也さんは「これは境界の専門家である土地家屋調査士と、法律の専門家である弁護士が協力して紛争解決を手伝う仕組み。裁判ではなく、当事者同士の話し合い(調停手続き)で合意する」と説明する。
争いは、所有者同士が、登記による一般的な境界である「筆界(ひっかい)」と、所有者の合意によって変更できる「所有権界」を理解していないことなどが要因。樹木の越境などで関係がこじれると、測量時に積もった思いが露呈し、引くに引けなくなる。
裁判では期日が一方的に決められる。相手が出廷しないと解決までの時間は延びるが、ADRはそうではない。同調査士会の木下満さんは「ADRでは、相手の事情に合わせて日程調整でき、応じてもらえる可能性が高い」と話す。
ADRでは公正な立場の専門家が入るため、関係がこじれていても隣の言い分を認めるケースもある。合意すれば、境界標の埋設や登記手続を行う。東京土地家屋調査士会の境界紛争解決センターでのADRの調停申し立て費用は2万円、調査費用に3万円。これ以外に調停の期日費用で最低2万円ほど(すべて税別)。その他実費や調停成立時の費用なども必要。
一方で、木下さんは「紛争の防止には、近所づきあいが非常に大事」と話す。続けて「権利書は大切にしても、境界確認書や図面が大事なことに意識が回らない人は多いのではないか。土地の売却を考えて、権利書よりも境界確認書などがあるか探しておきたい」ともアドバイスする。
帰省時には、隣地にあいさつし、感謝の気持ちを伝えたい。なお、各地の土地家屋調査士会では、区市役所などで無料表示登記相談会を開催。ADRセンターでも相談会を行う。
(7月5日 ZAKZAK)
土地家屋調査士 大阪 和田清人(image)