令和2年分の路線価図等の公開は、7月1日(水)11 時予定だそうです。

それに関連した、広田龍介税理士のコラム。

ご承知のとおり、相続税路線価は、1月1日時点の評価額を7月に発表。
これは、3月に公表された公示地価の8割。

つまり、公示地価も路線価も、新型コロナによる影響は反映されていないわけ。

ここで一番怖いのは、逆転現象。

今年、これからお亡くなりになれば、
相続税評価はコロナ前、納税のための土地売却はコロナ後の数字ってことに・・・

平成4年には、相続財産を全部売っても税金が払いきれなかったケースも
ありましたよね。

しばらくは、土地の評価スキルが重要な時期が続きますね。


【コロナで地価下落?「相続税の悲劇」避けるためには】

 新型コロナウイルス感染症の影響で深刻な景気後退も現実味を増し、地価下落の懸念も。その場合、相続税の土地評価額と時価の間に差が生じる可能性があります。相続税申告で注意すべき点とは? 税理士の広田龍介さんの解説です。【毎日新聞経済プレミア】

◇路線価は「1月1日時点」の数字
 相続が起きた場合、相続財産はどのように評価し、どんなスケジュールで相続税を納税することになるのだろうか。最初にそれを確認しておこう。

 相続財産の評価時点は、相続が起きた日となり、それから10カ月以内に、相続税を申告し、納税する必要がある。原則は現金納付だ。

 相続財産の土地については、相続が起きた年の路線価で評価する。毎年の路線価は国税庁が7月ごろに公表するが、これは、国土交通省が毎年3月に公表しているその年の1月1日時点の公示地価の「8割水準」となっている。

 今年の公示地価は、東京圏住宅地で昨年より1.4%、同商業地で同5.2%それぞれ上昇し、7年連続の上昇となった。だが、これは1月1日時点、つまり「ほぼ昨年の実績」であり、その後の新型コロナによる影響は反映されていない。

 これは、今後公表される今年の路線価も同様だ。新型コロナの影響で地価が下がったとすれば、相続の発生と申告の時期によっては、土地の相続税評価額と時価との間にギャップが生じる可能性がある。

 路線価は公示価格の8割水準であるため、つまり残る2割部分は、地価が下がっても変動分を吸収する緩衝の役目を果たしてくれる。だが、下落幅が大きければ、時価が路線価を割り込むことはあるだろう。相続税の申告では、この「路線価>時価」が起きていないかという確認が重要になる。

 1990年代のバブル崩壊では、地価が大幅に下落し、東京都内の土地評価額はピーク時の4分の1から、5分の1になった。

 時価が路線価を大きく下回ったことで「相続の悲劇」も生まれた。例えば、土地の相続税評価額が1億円あり、相続税額が5000万円というケースでは、相続税を支払うために土地を売却しようとしても、2000万円でしか売れず、残りの3000万円を捻出する必要に迫られるという事態も起きた。

◇申告の三つのケース
 これからの相続税の申告は、次の三つのケースだ。

 (1)昨年相続発生→今年申告
 (2)今年相続発生→今年申告
 (3)今年相続発生→来年申告

 (1)のケースは、昨年の路線価で評価されて、相続税が計算される。だが、土地の売却資金で納税を考えている場合、地価下落によって売却額が見込みを下回り、納税の計画を見直さなければならないこともありうる。

 (2)のケースでは、今年の路線価で評価される。今年の路線価は昨年を上回るのは確実であるため(1)のケースより状況は厳しくなってくる。

 「路線価>時価」の逆転現象が起こった場合はどうすればいいだろうか。

 相続税申告で、土地の評価は路線価を基準とするのが原則だが、バブル崩壊後の「相続の悲劇」を受けて1992年からは「路線価>時価」となった場合でも、その時価評価が適正であると判断されれば、時価での申告が認められている。逆転現象が起きた場合は不動産鑑定による時価申告も視野に入ってくるだろう。

◇来年納税なら「時点修正」も
 (3)のケースでは、今年の路線価か、不動産鑑定による時価を比較して考えるのは、(2)と同様だ。ただし、申告が来年であるため、来年3月に発表される公示価格が下落していれば、それにあわせて今年の相続発生時の路線価を修正する「時点修正」も可能だと考えられる。

 例えば、今年8月に相続が発生し、今年の路線価が100だったのに対し、来年は70と3割下がった場合で考えよう。今年に年間を通じて地価が継続的に下落したとすると、8月時点では1月から(8÷12)カ月分、つまり2割下がったと考えられる。これを合理的な算出方法として申告することも可能だろう。

 このように、地価の行方は、相続税額の計算方法や、納税資金の捻出方法に大きく影響する。これは相続人の間で財産をどのように分けるかという遺産分割協議にも深く関わってくる。十分に注意することが必要だ。
(6月14日 毎日新聞)
https://news.yahoo.co.jp/articles/1664dc52148dc7f96023837e0f0d2a433ca6065a


土地家屋調査士 大阪 和田清人(image)
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