去年にまして家主様からの「空室対策」の相談が相次いでいます。
そんな中、賃貸住宅新聞を読んでいて気になる記事がありました。
需要消失・・・・
大工場縮小の果てに・・・杵築市編
要約しますと、大分県杵築市はキャノングループの工場が1999年に操業を開始、
グループ全体で3,000人が働いていました。
市全体で工員向けのワンルームの賃貸物件の建設が促進され、金融機関やJAが融資を行い、非常に潤っていました。
しかし、状況は一変
リーマンショック以降、派遣切りが始まり、大幅な人員削減。
10年の借り上げ契約もわずか2年目で一方的に解除
潤っていた街は一変し、「空室地獄」と化しました。
一時は4万円の賃料をとっていた物件が今では9,500円
それでも空室は目立つ。1棟丸空きなんて珍しくないと言います。
自己破産をするオーナーさんも現れる始末。
ひとつの需要に頼る危険性を指摘しています。
同じ様な話が、私の地元の隣町でもありました。
それは、大学です。
その街は大学誘致に成功して、新しく大学が来る。
そこで、ハウスメーカーさんや建設会社さんは学生向けのワンルーム物件の営業を展開、とくに力を入れたのがJAさんでした。
地主さん達は競争の如くアパートの建設ラッシュ。
しかし、初めての1年生が入学してびっくり!!
大学の近くには住まず、隣接県の2駅先の地域に住み始めました。
なぜか?大学の近くにはバイト先がなく、バイトには隣町(私の地元)まで、車かバイクで行かなければならない。しかし、バイト先の近くなら徒歩で行けるので便利。
あてが外れた地主さん達は青ざめました。
新築なのに3年だれも住まない物件も現れ始め、同じように自己破産や売却する地主さんも出てきました。
そして、今は、大学の撤退が囁かれています。
これは、完全に需要を読み違えた、
悲しい結末です。
サ高住も今日時点で9万戸を突破しており、10万戸は目の前です。
消費税も8%に増税され、10%になり、更には15%にとの話もあります。
相続税も増税傾向にあり、相続対策を兼ねた土地の有効活用として、
サ高住は注目を集めていますが、きちんと検討しなければなりません。
市場には家賃、食費、管理費込みで10万円と言う物件が多く供給れています。
そこには多数の「リスク」があります。
今は良いですが、その周辺に10万円の物件が溢れたらどうなりますか?
そして、5年後、10年後の入居者層は間違いなく、変わります。
安ければ入る。介護保険で売り上げを安定させる。
そんな事を今でも考えているなら、絶対に辞めるべきです。
悪いことは言いません。危険です。
その計画は即座に中止するべきです。
なぜ?安くするのか?
困っている人を救いたいと本当に願うなら、10万円では救えません。
国民年金でも入れるレベル、月額4万円台を作らなければ無理です。
以前からもお話している通り、理念や戦略を持って、10万円にするならば問題ありません。ただ、安ければ入るからと考えているなら「リスク」です。
地主さんもその様な事業者が価格競争に負けたら、どうなりますか?
共倒れの危険性もあります。
冒頭の賃貸でのお話は他人事ではありません。
近い将来起きるかもしれません・・・
まずは、よくご検討下さい。
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