/pic/40/tmb/20120311091851.jpg 大手アパート会社の関係者から、聞いた話です。
その会社は、後の実例でも出てくる会社です。
テレビの宣伝がうまく、強力な営業戦略で現在売り上げをアップしています。

 その会社の営業は、相当過酷なレースです。
朝9時半に5、6人の営業マンが車に乗せられ、田んぼの広がる地域、つまりアパートやマンションがまだ建っていない「お宝の土地」があるところまで連れていかれ、下ろされるそうです。
営業マンはその後散らばって、夕方5時にお迎えが来るまで、ひたすら営業をして回ります。
車も自転車もなく、そんなところで下ろされたら帰るにも帰れないので、足を棒にして歩き回るしかないのでしょう。
何だか、現代版「野麦峠」の話でも聞いているようです。

 この会社は、ノルマ達成も厳しいとのこと。
3ケ月間契約のない営業マンは、ナビゲーションつき携帯を持たされて行動を監視されるという、念の入れようです。
もはや、営業マンは一人の人間として扱われているのではなく、単なる駒として会社に利用されているだけのような気がします。

 しかし、努力は実を結ぶもので、こうした営業活動を続けていると契約に結びつくケースがたくさんあります。
地主さんからは熱心だと思われるのです。
ノルマ達成と自分の業績給のために、雨が降ろうと槍が降ろうと通っていくのでしょう。
本人は自分のノルマ達成のために必死になっているだけですが、地主さんは「自分のためにそこまでしてくれるなんて」と感動してしまうのです。
契約を結ぶときは、「ありがとうございます!」と拝み倒さんばかりに喜ぶ営業マンの姿が目に浮かぶようです。

 もちろん、営業の方法に関しては会社によって考え方は違うでしょうし、違法行為だというわけでもありませんので、本当にお客様のためになっているのなら、どんな過酷なノルマを設けようといいとは思います。
お客様を喜ばせることが一番の目的なのですから、それを実現しているのなら、何も問題はありません。

 しかし、この会社は契約を結んだ後に問題があります。
アフターメンテナンスを一切しないのです。
本社の財務内容を維持するために、異常に高い利益率を確保し、メンテナンスをまったくしないというのがこの会社の方針です。
「釣った魚に餌はやらない」というわけです。

 地主さんは、契約を結ぶまでは天国であっても、結んだ後は地獄を見ます。
そしてトラブルが続出し、その地域ではこのアパート会社の評判が悪くなっていきます。
地主さんは4、5年もしないうちに、「あそこでアパートを建てたら、えらい目にあった!」と知り合いに話して回るので、その噂を小耳に挟んだ人は、絶対にその会社では契約を結ぼうとしないでしょう。

 このような事情もあり、ある程度アパートを建てた地域は、それ以降は営業をしてはいけない地域となります。
訪問禁止の地域です。
建てれば建てるほどクレームが多くなり、地主さんはその会社のアパートを建てようとしなくなります。
そこで、また新たに犠牲となる地域を探して営業を始めるわけです。

 この会社は、珍しい営業スタイルをとっています。
一人の地主さんのところに3、4人の営業マンが入れ替わり立ち替わり訪問することになっているのです。
そのなかから、地主さんと一番相性のいい営業マンが最終的に商談を進めていきます。
地主さんは感情的に営業マンを気に入っているので、相手の言うことを素直に受け入れてしまうのです。

 つまり、いくらいい物件を地主さんに提案しようと、最後に決断する材料となるのは営業マンとの相性なのです。
この会社はそれを知っているので、営業に関してはあの手この手で地主さんに気に入ってもらおうとするノウハウを持っています。
そこの部分を熱心に研究するよりは、いい物件を提供することに力を注ぐのが会社として正しいあり方だと思うのですが、とにかく売り抜ければそれでいいようです。
ここまでいくと、サギ行為だと言われても何ら不思議ではありません。

 地主さんが被害に遭わないようにするには、知識を武器とするしかないでしょう。
アパート・マンション経営は慈善事業ではないのですから、営業マンの熱心さにほだされて契約するのは危険な行為です。
今一度冷静になって、本当にその物件を建てることが自分にとって利益となるのか、入居者が本当に喜ぶのかを考えてみることです。

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久保川 議道

久保川 議道
(くぼかわ よしみち)


アサヒグローバルホーム株式会社 取締役会長
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