/pic/2/tmb/20110716175709.jpg 賃貸契約は、長期にわたる契約であり、その間に、特に家賃滞納等貸主にとって、最悪の状況が発生する危険があります。
 家賃を滞納した入居者(賃借人)を立ち退かせるためには、どのような手順があるか整理してみましょう。

1.賃貸借契約解除の要件
 まず、賃貸借契約を解除することから始まりますが、契約解除のためにはこの場合、貸主との信頼関係が著しく損なわれているかが要件となり、基準として2カ月以上の家賃滞納が該当します。したがって、2か月以上の滞納状態が継続して初めて賃貸借契約を解除することが可能となるのです。
以下にその後の手続きを単純に記載します。

2.賃貸借契約解除の通知
滞納家賃が2か月以上に及び、ついに信頼関係が完全に損なわれたと客観的に判断できる状況が確定した段階で、賃貸借契約解除の通知をおきまりの内容証明郵便制度を使って相手方に送付します。
これは別に意味がなく、のちの訴訟手続きの際の証拠資料をつくるためのものにすぎません。手紙を送って退去する善人なら、家賃を払えなくなった段階で家主に相談して引っ越すものです。
3.任意退去不能
 従って、お手紙では退去不能は明白ですから、いよいよ「しかるべき弁護士をたてて民事訴訟を提起します」というおきまりの予告通知を相手方に送付し、長い裁判闘争に備えることとなります。
4.建物明け渡し請求訴訟
 最終予告通知で、退去するはずはありませんから、弁護士を雇い、代理人として訴状を書かせ、地方裁判所に訴状を提出します。その際に、訴訟手数料及び弁護士の着手金が必要となります。
5.勝訴判決
 おそらく、訴訟手続きに瑕疵がなければ賃貸人の勝訴判決がでるでしょう。しかし、勝訴判決を得たとしても相手方を強制的に退去させる権限はまだありません。強制執行のための債務名義を得たと理解してください。
6.強制執行申し立て
 確定判決を債務名義として民事執行法に基づき、明け渡しの強制執行の申立てを行い、判決を得てやっと、強制手続きにはいれます。
7.執行官による強制執行
 強制執行は、執行官の所管になりますので、まず、費用を予納し、執行官が現地にでむき、強制的に荷物を搬出します。
その際の費用は、当然、相手方の負担ですが、一旦、賃貸人が予納しておく必要があります。なんという費用と時間がかかるのだろうかと思った時に裁判手続きは終了します。

 これで、立ち退きは完了です。いかがでしょうか。このような長期にわたる裁判闘争では、貸主が大変ですよ。そこで、現在「裁判外の紛争解決手続きの促進に関する法律(ADR法といいます)」が施行されており、この制度を積極的に活用して事前に裁判手続きによらず、不良入居者の退去を簡単にできるようにすることが重要な契約戦略となります。次回は、ADR法による賃貸借契約締結方法について解説しましょう。

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小泉 賢司
(こいずみ けんじ)

中央建設企業経営振興事業協同組合連合会理事長
東京都生まれ

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