高齢者は金持ち


/pic/4/tmb/20121012111112.jpg 個人所有の金融資産は1400兆円あり、この資金が預貯金等を通じて大量に発行される国債を買い支えている。
また1400兆円の大部分を高齢者が保有しているともいわれている。

 1400兆円の出所は日本銀行の資金循環勘定であり、この金額の中には個人事業主の事業用資金が相当含まれているので、個人が金融機関に預けている金額より多めに現れているといわれる。

 総務省が行なう家計調査によれば個人所有の金融資産は829兆円になる。
負債は257兆円あり、個人の純金融資産は572兆円となる。この値のほうが感覚的に適していると思われる。

 その内訳を見ると純資産総額では60歳代236兆円41%、70歳代以上190兆円33%であり、60歳以上が純資産総額の3/4を占めている。
高齢者の全てにいえることではないが、年代別に見れば高齢者は若年者に比べ相当金持ちといえる。

 さらに不動産資産では50歳代、60歳代において増加している。これは自ら不動産資産を購入したのではなく、相続により親の不動産を取得したといわれている。
お金には安全性、収益性、流動性という基準で管理するが、必要なときに引き出して使用することができる、いわゆる流動性はお金に求められる最も重要な基準である。
いくらお金があっても必要なときに使えなければお金としての価値は無いに等しい。


保険金は葬式費用に間に合わない


/pic/4/tmb/20121012111241.jpg 働き盛りの若年者が生命保険に入る目的は、遺された家族の生活保障である。
現役のサラリーマンである世帯主が亡くなれば遺族年金が支給されるが、それだけではこれまで通りの生活を家族ができないかもしれない。
その不足分を補うために生命保険で準備している。

 すでに老齢年金を受給している高齢者に生命保険加入に対するアンケートをみると、葬式費用に充てるためという回答が多くある。
盛大にとは言わなくてもせめて人並みの葬式をあげて欲しい。香典だけでは不足するので保険金で少しは賄いたいという思いである。

 そして人生最後の儀式にかかるお金の負担を子や配偶者にはかけたくないということだ。
そのために300万円程度の終身保険に加入する人は多い。
すでに病気をしていても300万円程度まではほとんど診査もなく加入できる保険もある。

 しかし死亡保険金を請求するにはいくつかの書類を整えて請求しなければならない。
まず加入している保険会社に連絡して請求書類を送ってもらう。
届いた請求書に署名、捺印をすれば保険金が振り込まれるわけではない。
書類を添えていくつか証明しなければならないことがある。

 まず加入している保険の保険証券が必要である。
保険金が請求できるのは保険証券に記載された死亡保険金受取人である。
そのため送付された死亡保険金請求書に必要事項を記載するとともに、保険金受取人の戸籍謄本、印鑑証明を準備する。
これで証券に記載された死亡保険金受取人が証明されたことになる。

 つぎに被保険者が亡くなったことを証明するために、被保険者の住民票、医師が作成する死亡診断書を準備する。
死亡事由が免責事由に該当しなければ、受取人が指定した銀行口座に振り込まれる。

 生命保険には各種特約がセットされている場合があるので、亡くなる以前の入院、手術、特定疾病などの給付金が対象になる場合もある。

 保険会社では保険法が平成22年4月1日から施行され保険金の支払期限を約款で定めるようになった。
請求書類が保険会社に届いた翌日から5日以内と決めている保険会社もあるが、書類に不備があり、告知義務違反等に該当する場合には支払期限は延長される。

 一般的に世帯主が亡くなった途端に保険金請求をするケースは珍しい。
亡くなるのを待っていたかのようである。
亡くなったら通夜、葬式などの準備に追われる。
精進落しが終わり親族だけになり、やっと故人を悼むことができる。
保険金請求などは後回しになる。

 葬儀会社からの請求書は葬儀後数日経たずに送られてくる。
急いで保険会社に請求しても、いつまでに確実に振り込まれるか分からない保険金を充てにすることはできない。
香典の不足分は遺族が立て替えることになる。


銀行預金も葬式費用に使えない


/pic/4/tmb/20121012111348.jpg 保険金は請求手続きをしなければならないが、銀行に預金しておけば万一の場合でもすぐにお金を下ろすことが出来る。
普通預金ならば平日でも休日でも必要なときにいつでもお金を下ろすことが出来ると思い込んでいるかもしれない。

 しかし銀行が預金者の死亡を知ると預金口座を凍結することになっている。
亡くなった者が世帯主ならば、ほとんどの資産は世帯主の名義になっている。
その預金口座からお金が下ろせなくなれば、葬儀費用だけでなく生活費も賄えなくなってしまう。

 預金者が亡くなればその預金は相続財産となり、法定相続人共有の財産になる。
共有財産ゆえに誰かが勝手に引き出すことがされないよう銀行は責任を果たさなければならない。
これは銀行だけでなく証券会社、その他金融機関に共通である。

 銀行が亡くなったことを知らなければ、これまで通り引き下ろすことは可能であるが、地域新聞にはお悔やみ欄があり、誰がいつ亡くなったのか知ることが容易である。

 このように凍結された預金口座を解除して使用できるようにするには、相続人間でその行き先を決めなければならない。
遺産分割協議書に分割内容を表し相続人全員の署名・捺印を行なう。
これを預金者の除籍謄本、相続人の印鑑証明を添えて銀行に名義変更手続きを行なう。
こうして初めて変更された預金者が自由に口座を使用することができるようになる。

 遺産分割協議が確定するまで待てない場合は、通常150万円程度まで引き出すことができる。
ただし故人の除籍謄本、実印、預金通帳、届出印、キャッシュカードと法定相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書等が必要になる。

 家族の者の死、通夜・葬儀の準備、金融機関の凍結というトリプルパンチで家族はパニック寸前である。
葬儀費用は相続人のうち誰かが立て替えるか、事前に現金で用意しておかなければならない。


相続放棄・限定承認


 相続が開始すると被相続人(亡くなった人)に属していた権利や義務が相続人に引き継がれる。
被相続人の財産が借金ばかりでは受け継ぐ相続人には酷なことになる。
そこで相続人はプラスの財産の範囲で債務を引き継ぐ限定承認が認められている。
またプラスの財産もマイナスの債務も引き継がない相続放棄という方法もある。
遺産分割で他の相続人に財産は何もいらないというのは相続放棄ではない。
相続分の放棄になるので、相続人の地位は失っていない。

 限定承認や相続放棄は相続人が相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に、家庭裁判所に申し立てをしなければならない。
この期間を過ぎると相続したものとみなされプラスの財産もマイナスの債務も引き継がなければならない。

 通夜、葬儀が終わり四十九日の法要の頃には3ヶ月の熟慮期間の半分以上が過ぎている。3ヶ月経ったところで思いがけない債務が現れても引き継がなければならない。

 最近これまでの和型の墓より個性的な洋型の墓、デザイン墓の人気が高まっているらしい。
また墓石を要しない樹木葬なども関心が高まっているらしいが、末永い供養を求めるならば墓という目に見えるものだけでなく財産のバトンタッチもスムーズに行ないたい。

 そのためには資産明細を作成して配偶者や子供達に伝えておくことだ。
親が自ら伝えることなく亡くなって子供達がスムーズに後処理を行なってくれるだろうと思うのは親の身勝手な考えである。
亡くなってからでは何も伝えられない。まだ時期として早過ぎると思っているうちに入院したら何もできなくなってしまう。

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