全国賃貸住宅新聞5月24日号の私の連載原稿から転記します。


必ず来る!仲介手数料『0』の時代

今回は、思い切ったことを書こうと思います。最近、この思いが日々強くなり、単なる予想から確信に変わりつつあります。世の中が急速に変化しようとしています。そして、今までのビジネスモデルが通用しない、という状況が生まれているのです。
10年前に大手仲介会社が賃貸仲介手数料を0.5ヶ月にすると発表しました。業界にかなりの衝撃が走ったことを覚えています。他に追随するところはあまりないだろうと当時言われましたが、現在関西地方などではかなり浸透していますし、首都圏でも同じことが起こっています。そして、0.5ヶ月どころか、近い将来仲介手数料というものは「0」になってしまうのではないか、そんな気がしてなりません。理由は、5つあります。

①Web環境の充実
②スマートフォンの浸透
③営業力の低下(草食系営業マンの増加)
④賃貸管理ビジネスの台頭
⑤デフレ・不況

インターネットというものが一般個人に普及し始めたのは、1995年「Windows95」が発売された頃からだと記憶しておりますが、当時、「ネットサーフィンにハマッテいます」という台詞が新鮮でした。パソコン環境も、まだ、会社でも1人に1台の専用パソコンを用意されていないところがほとんどでしたし、賃貸不動産管理ソフトの運用には「オフコン」でなければ無理です、なんて言われた時代です。ちょっと前に(1991年)NECがカラー液晶のノートパソコン(PC-9801NC40)を発表したときには、感激しましたね。価格は738,000円です。重さが3.5㎏で、ハードディスクが「40MB!」、当時勤めていた会社にねだって買ってもらったのを覚えています。「ロータス123(表計算ソフト)」をプログラムして喜んでいました。
あれから20年近くが経ち、ノートPCは大体5万円くらいで買えて、ハードディスクは320GBです。容量は約8,000倍になって、価格は15分の1になりました。(いまや16GBのSDカードが4,000円で買えるんですよね)
そして、いまは、「スマートフォン(高機能携帯電話)」の時代です。「iPhone」が大変人気ですね。重さは133gです。オバマ大統領愛用の「Blackberry」や、ドコモから最近「XPERIA」も発売されています。スマートフォンは、一応「携帯電話」ですが、これは「手のひらに乗るパソコン」と考えたほうが良さそうです。たまたま、電話も付いていると。あんな小さい画面でパソコンではないだろう、と感じたあなたは私と同じで「オジサン」です。携帯の画面に慣れている若い人にとっては、スマートフォンのサイズは十分な大きさでしょう。最近では、携帯電話はそのまま持っていて、2台目としてスマートフォンを持っている人も増えてきました。これはまさに小型PCを持ち歩いているということです。このスマートフォンは世の中を変えると言われています。リクルートのスーモは、近々賃貸でもiPhoneアプリである「セカイカメラ」対応を開始するようです。内臓カメラで街をかざすだけで、物件情報があぶりだされます。
アメリカのGoogleでは不動産ガイド「Real Estate in Google Map」で不動産情報が無料で登録でき公開されています。日本のサイトでは、まだ検索オプションは「お店やサービス」しかありませんが、そのうちここに「賃貸不動産」という項目が追加されるのでしょうね。すごいことになります。「ストリートビュー」もありますから、街の雰囲気も机上でほとんどわかります。部屋内部の動画も当然あります。
入居者は、自分で簡単にさまざまな物件情報にたどりつくことができます。首都圏不動産公正取引協議会(RSC)の調査のよると、ネットで部屋探しをする人のほとんどは業者に1~2社しかいかず、2~3戸程度に絞り込んで来店しているようです。自分で選んでいるのです。そうなると、不動産仲介営業マンというのは、ただの「カギ開け案内人」にすぎません。はたして、カギを開けてもらっただけなのに、家賃7万円なので、7万円の手数料を払う気になるでしょうか?なりませんね。
そして、こういった現象に伴い、お客さんのほうがよく物件を知っていたりするせいもあってか、仲介営業マンが「クロージングトーク」というものをしなくなっているのです。本当にただ「鍵を開けている」だけの人が多くなってきました。また、昔と違って若い人が「歩合制」でなくて「固定給」を望む人が多くなっているようで、「営業」マン(ウーマン)でなくなってしまっています。

また、昨今の「管理ビジネス」への関心の高まりが「仲介手数料『0』」を加速するでしょう。しっかりいい管理をして、オーナーからフィーをいただければ、何も入居者から仲介手数料を無理にいただく必要はありません。この原稿を書くためにGoogleで「賃貸仲介手数料無料」で検索してみたら・・・、なんだ、既に多くの業者がやってました(笑)。そもそも、賃貸仲介業は赤字体質です。儲からない。大事なのは「管理」です。「管理」をいまからしっかりやっていないと、「仲介」の売上がメインの会社は近い将来、大変厳しいことになりますね。はたして、「仲介業」というものは存在し得るのでしょうか?人が介在して「マッチング」して欲しいニーズもある程度あるでしょうから、まったく無くなるとは思いませんが、こんなにたくさんの業者は必要ないでしょうね。そして、もっと簡易な「マッチング店舗」になっていくのではないでしょうか?ただどのような形であれ言えることは、手数料は「0」でしょう。

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