(image)  バブル崩壊後、日本の地価は、急激な下落傾向をたどっています。 それでも欧米に比較すると水準地価は異常に高く、個人が住宅を購入するのは困難です。 しかし、高い地価も、イギリス式の定期借地を利用すれば状況は改善されます。土地を購入しないで住宅を建築工事費のみの負担で取得できれば、一般の人でも住宅を購入できます。 その際、土地代は現在の地価評価に使われている路線評価額の2%程度とすれば、固定資産税、都市計画税を支払い、さらに20年分割で相続税の支払いをしたとしても、地主さんには所得が残ります。つまり、相続した土地の価値を減少させずに、子供や孫に受け継げるのです。 99年間の定期借地権の期間が終了すれば、100年目からは契約更新により、今までの地代と比べて10倍近い家賃を手にすることが出来ます。もちろん、価値のある物件ならの話ですが。 だからこそ、将来負債となるような物件を安易に建ててしまってはいけないのです。次の代のことまで考えれば、丈夫で長持ちし、また飽きの来ないデザインの物件を建てようとするでしょう。目先の利益にとらわれている場合ではなくなります。 こうなれば、一人一人がいい物件をつくり、次世代まで残そうと大切に使うようになります。住まいを大切に思う心が生まれるのです。 日本人がいつの間にか失ってしまった住まいに対する哲学を、定期借地利用の住宅建築は蘇らせる力を持っているのかもしれません。重要文化財を見れば分かるように、もともと日本人は優れた建造物をつくる才能があるのです。才能と哲学が一緒になれば、また美しい街並みが戻ってくるはずです。 定期借地(リースホールド)から土地所有(フリーホールド)に移行するのも、選択肢として考えられます。大切なのは、業者だけが儲かる構造にならないようにすること。土地を提供する地主さんにとっても、そこに住む入居者にとっても、利益が得られるようでなければ商売として成り立っていないと断言できます。 さらに、定期借地事業として次の3点に日本の国が積極的に取り組むことを提案します。1.公営の賃貸住宅を建て替える 戦後の都市成長の中で建設されてきた公営、公庫、公団による中高層賃貸住宅を、貧しい住宅から都市の資産としてふさわしい住宅にすること。公的な住宅が今のようにお粗末な状態では、先進国として恥ずかしい話です。国が貧しい住宅づくりに加担しているのと同じですから。 イギリスでは公的賃貸住宅を多数抱え、財政危機に陥ったことから、サッチャー政権が住宅政策の大転換を行いました。18世紀から19世紀にかけて建てられた公共住宅の払い下げをし、購入した投資家は、土地は定期借地のまま現代のライフスタイルに合わせて建て替えました。この政策は大成功し、国家の不良債権処理が進むと同時に、イギリスの住宅産業の活性化を起こしました。 日本においてこの事業を実施したなら、潜在化している合計50兆円の住宅需要が、住宅投資として顕在化するでしょう。2.遊休地を住宅開発する 都市内部の地方公共団体、公団、企業、個人の所有する遊休地を、定期借地を利用して住宅地開発することです。これまで無秩序な成長をしてきた都市を、人々の生活を中心にした徒歩圈による住宅地づくり、都市づくりの梃子(てこ)とするのです。 アメリカでは1980年代に徒歩圈に人が住むような都市づくりをしてきました。アメリカの映画やドラマを見ると、仕事を終えた後、会社の近くのバーで飲んでからブラブラ歩いて帰るようなシーンがよく出てきます。通勤電車に長時間乗り、さらに駅からバスで帰らなければならないような日本人にとっては、憧れの光景です。 定期借地にすれば土地取得費を必要としないので、年間3兆円相当の潜在需要を継続的に顕在化させることが可能です。3.農村を活性化させる 都市で生活している人が、農村でリゾートライフを送ることでストレスを解消できる、新しい生活パターンの実現です。最近は、日本でも「田舎暮らし」が1つのキーワードとなって、雑誌の特集が組まれています。「癒し」という言葉がブームになるように、自然が多く癒される空間を必要としているのです。 これは同時に農村の経済振興も高められます。 1980年代、フランスやドイツ、アメリカなどでは農村でリゾートライフを楽しむ試みがありました。遊休している農村の土地を定期借地としてリゾート開発することで、土地取得費用の負担もなく開発が出来ます。都心部に住んでいる人が移転したり、セカンドハウスを建てたりと、積極的に農村に移ります。 そうすれば地方の人口も増え、過疎化は免れます。消費が増えるので、地方の経済が活性化されるわけです。 このように、正しい土地活用は住まいの在り方を変えられる力を持っています。一日も早くこれらの制度を取り入れて、日本における住まいを見つめ直して欲しいと思っています。
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