(image) これは不動産の仲介業を営んでいる伊藤さんから聞いた話です。 入居斡旋をしても、どこの物件にも入居できなかった人が伊藤さんの店を訪れたそうです。伊藤さんがいくつか紹介しても、入居者の審査の段階ではねられてしまいます。 実はその人は
多重債務者でブラックリストに載っていたのです。借金取りに追われているのか、各地を転々としながら暮らしているようです。 もちろん、その人にはその人なりの事情があるのでしょうから、借金したことを問題視するつもりは毛頭ありません。借金をした人でも、きちんと住宅を得て住む権利はあります。 しかし、賃貸管理会社やオーナーにとっては、万が一家賃を滞納されたり踏み倒して逃げられてしまったら、大損害です。それを防ぐには、審査の段階で慎重にならざるを得ないのです。 結局、その人は伊藤さんの店ではダメだとあきらめたのか、姿を見せなくなりました。それから1ケ月ほどたってから、伊藤さんが連絡をとってみたところ、D社への入居が決まったと嬉しそうに報告を受けたそうです。 大手アパート会社ではブラックリストに載っているような人は審査ではねることが一般的なので、非常に珍しいケースです。つまり、
入居者を確保するために、誰でもいいから入れてしまうような状況になっているのです。 この
D社は空室が多いことで有名です。きちんと管理していない物件を見て、普通の入居者は部屋を見た段階で断ります。だから家賃を下げてもなかなか部屋が埋まらないのです。 しかし、この会社は
家賃を宿泊費と考えているので、先払いにするシステムにしてあります。どんなに質の悪い入居者を入れても、家賃を取りはぐれる危険性が少ないというわけです。無審査状態で入居させ、気がつけば
不法滞在者やワケありの人ばかりが住むようになってしまった物件もあるといいます。 こんなひどい物件のオーナーになった人は、さぞ大変だろう……と思っていたら、私のお客様の中にもD社でアパートをつくってしまった山本さんがいました。 この会社では家賃保証をすると謳っていますが、2年ごとに家賃が3%ほど減っていくそうです。しかも、
家賃が変更になるという説明はオーナーには言わないのです。以前に実例として紹介したA社と同じです。「もう、こりごりですわ」山本さんはうんざりしたように話していました。