(image) サ高住の実践編として、(1)経営理念と経営戦略。(2)運営の基本と経営ソフト。は終りまして、今回は第(3)です。簡単に言いますと、『
お客様は誰れか』『
お客様にとっての価値は何か』についてお話しいたします。 まず初めに、私の
11億円の大失敗はここを間違えたのが原因でした。介護・医療の業界を全く知らない私が、8年前から始めた事業ですから、皆さんから見れば『バカなやつだ』とお笑い下さいませ。しかし当時のわたしは真剣に『正しい』と思い込んで、一生懸命に介護付高専賃を運営していました。 そして大失敗です。それは私は当時の高専賃には『介護』がついていれば十分だと考えていたことです。一円の売り上げにもならないのに、夜間もずっと24時間ヘルパー常駐にしていれば入居者が喜んで上手く行くと考えていました。 多額の赤字を出しても、高齢者がご安心していただけるためには、夜間のヘルパーを置くことだと考えましたが、結論から言ってそれはボーリングで言うところの『センターピン』ではありませんでしたね。 1つの例を上げて説明しましょう。
ゴールドエイジは、入居募集で失敗した訳ではありません。660人分の入居には成功していたのです。これは今『サ高住』をやっていて、満室ですよ。と言われ成功している運営会社さんも十分にご注意ください。 10ヶ月で154人の入居を達成しました。これは成功ですね。しかしこの
10ヶ月間で150人の入居者がゴールドエイジを退去していたのです。10ヶ月で増加4人では私も頭がクラクラいたしました。皆さんは、あっそうか150人も退去したんだね・・・と冷静に言われますが、150人の退去はお金にしていくらの損失かをご存知でしょうか。4億5000万円の損失です‼ 介護報酬や家賃その他を全て入れて、一人当り月に25万円の売り上げ(収入)として、1年で300万円です。150人掛けると、はい、
4億5000万円ですね。『大失敗』です。その理由は、高専賃でもサ高住でも、多額の入居金はいりませんから、入居者は1ヶ月分の家賃を捨てるつもりなら、自由にいつでも退去して別の新しい家賃の安い設備のいいサ高住に転居できます。お金の問題ではなく、気に入らないサービスや嫌いなヘルパーが居れば、いつでも退去してしまいますね。これが特定施設の入居者や、病院に入院の患者さんとの立場の違いでしょうか。これからたくさんの『サ高住』が建設されると大変です。入居者の取り合いと、入居者のワガママで『退去率』が相当数に激増することでしょう。しかし、こんなことは民間ではあたり前のことです。コンビニの前にコンビニはできますし、アパマンの入居者も家賃が同じなら『安くて設備の良い』アパートにすぐに引越してしまいます。さてしかし私の150人の退去の理由はこれではありませんでした。
理由(1)死亡でした。入居者の平均年齢は、82才ですから、考えてみれば当然でしょうか。99才や100才の入居者もいますから600人居れば相当数のお亡くなりです。
理由(2)入院でした。もうバンバン入院ばかり人数が増えてどうしようもありませんでした。
理由(3)経済的理由でした。ゴールドエイジは今でこそ月間生活費(1割負担除く)13万円くらいでした。今は家賃1万円の棟もありますから、これから2、3年で12万、11万、10万、9万、8万8000円を目標に30ヶ処程の『サ高住』を運営する予定です。しかし当時は16万円から18万円でした。ですからやはりご家族の収入に変化があると、すぐに退去されますし、特養、老健の待機者などがいますから、国の施設が空くと費用が安いですから、直ぐに退去となります。さて、ですから私は4年間かけてこの3つの原因を全て潰しました。(1)は医療法人で在宅診療を始めました。すぐに100人近くの在医総管になって、例えば50人の棟で昨年11月には7名の看取りをさせていただきましたね。(2)は訪問看護ステーションを始めて、サ高住での医療行為を行いますから、入院も激減しました。(3)は13万円、12万円ですからOKですね。10万円を切ればもう国の施設にも負けませんね。これが4年間の私にとっての最大の苦労でしたでしょうか。これからサ高住を始められる方が、同じ失敗や同じ苦労をしていただかないために、私はこの文章を真面目に書いています。『サ高住が日本の医療・介護を救う』と真剣に考えていますから、一人でも多くの方がサ高住をやっていただきたいのですが、私の様に失敗してはいけませんから、生々の体験をお話しています。これがもし業界トップの企業の上場会社であれば、社長はこんな情報は絶対に社外には話せませんね。しかし私の会社は高専賃を日本でも8年前に最初に始めたパイオニアですが、中小企業なので全てお話しができます。さて本題の『センターピン』ですが、お分かりでしょうか・・・?私の大失敗は、『介護』だけでいいと考えたことです。しかし文章を読んでいただくと
『医療』がもっとも大切だったことがお分かりいただけると思います。そうです。『センターピンは医療でした』。そのうしろに介護や生活支援やお食事や家賃が続くのであって、医療をはずしてサ高住の運営で成功させることはできません。25人や30人一棟だけなら、しっかりした施設長がいればやれます。しかし10棟300人、20棟600人のサ高住の成功はありません。十分にご注意ください。特に今の高齢者は、戦前戦中の苦労をされていますから、どんな苦しいことにも耐えられます。介護なんてなくても頑張れますが、よく『病気には勝てないねー』と言われます。そしてドクターを異常に信頼して尊敬しています。週に2回くらいドクターの顔を見れば大安心の人達ですから、そう言った意味でも、サ高住のセンターピンは医療ですと申し上げます。結論ですが、『顧客は誰れか』これは健康な高齢者も、介護の必要な高齢者も顧客ですが、それだけでは失敗です。医療を望む高齢者も顧客だとお考えください。次に『顧客の立場に立っての、価値とは何か』それは私のように失敗しないように、
サ高住での『医療行為』、サ高住での『看取り』をしっかりと行わない限り、高齢者のニーズを満たせないサ高住になってしまうと考えます。もう1つ付けたすとすると、『経済的価値』も大切です。入居者にとっての月間生活費にも十分に注意していただいて、サ高住の運営をされないと、以前の高専賃と同じに、半分倒産してしまいます。名前がサ高住に変っただけで、訪問介護の低い国保請求は全く同じです。私は民間の企業経営者ですから、厳しくて苦しい経営が大好きですね。人のできないことをやらないと企業は成長できないからです。医療法人様や介護会社様が自らの強みと特色を持って、人のできない『サ高住』に挑戦されることを願って、今回の課題を終ります。来月は(4)『求人採用・評価と給料・教育と訓練』です。ご期待ください。