(image)  アメリカと同じ設計図書を使い、同じ材料を使った住宅が、日本では2倍以上の価格で売られているのをご存知ですか? 代表的なのはツーバイフォーエ法の住宅です。日本の輸入住宅は、1970年代にカナダのツーバイフォーエ法が紹介されてから普及するようになったといわれています。その後、住宅業者がコマーシャルを盛んに打ち、「夢のような生活を実現する住まい」というイメージを消費者に植え付けてしまったことから脚光を浴び、輸入住宅の価格は高騰しました。海外に行けば、同じ材料を使い、同じ工法で建てられた住宅が驚くほど安い値段で売っています。それがこの建物の真価なのです。 日本では、同じ製品をつくるのであっても国内の企業に頼むとコストが高すぎるので、中国やベトナムに任せてコストダウンをはかる傾向があります。これが産業の空洞化の原因となっているのですが、建築の現場ではどうかというと、日本の職人さんの賃金は決して高くはありません。労賃はアメリカの2分の1程度に抑えられています。それにも関わらず、住宅価格はアメリカよりも2倍も高いのです。おかしいと思いませんか? 日本の住宅メーカーが安い住宅を高価格で売っているのは、プライスの中に多量に粗利が隠され、住宅産業界が不当な利益を得てきたからです。適切な価格で住宅を提供することより、自社の儲けを優先してきた結果なのです。 欧米の住宅業界は、徹底的にムリ・ムダ・ムラを省く傾向があります。限られた予算の範囲で最良の品質の住宅を生産するための技術としてコンストラクションマネジメント(CM=建設業経営管理)があります。 住宅の取引価格は、住宅市場における需要と供給とで決定し、売り手が販売価格を操作することは法律で禁じられています。そのため、住宅業者は生産の過程でムリ・ムダ・ムラを削って、生産原価(コスト)を管理するための努力をします。これがCM技術の三本柱の1つ、コストコントロールです。 日本の住宅業者には、CM技術の概念はありません。官民癒着の構造により、プライスコントロールをしてきました。建設業者と発注する側である公共事業の団体が独占的に価格を設定していたから、公共事業の建設時の入札で談合をはかることができたのです。 一般の住宅においても同じです。消費者レベルで考えようという構造になっていないので、住宅業界はより高く住宅を売ることだけに腐心しています。 高い住宅価格は、住宅ローンにはねかえってきます。ここ数年、住宅ローンを払えずに自己破産してしまう「ローン破産」が多くなっていますが、ローンの残高は何千万円という金額であっても、土地・建物の価格は当初の販売価格の2分のIから3分のIとなっています。 つまり、住宅の価値としては販売価格の2分の1から3分の1しかないものを、2倍か3倍は価値のあるものだと消費者を騙して販売してきたのです。これは完全に刑法上の詐欺行為です。 ハウスメーカーは、大多数の消費者が2000万円程度の住宅を購入する支払能力しかないことを知っています。それでも、一戸1億円もの費用をかけてモデルハウスやモデルルームを作り、「夢のような」住まいを消費者に印象づけているのです。 広いリビングには、高そうなソファセット。ベッドを2つ並べておいてもまだゆとりのある、快適な眠りを約束してくれる寝室。洗練されたダイニングキッチンは、外国製の食器やテーブルセットがよく似合います。 消費者はモデルルームを訪れると、「こんな豪華な暮らしが実現できるのか」と興奮し、冷静に判断できないまま勢いで契約を結んでしまうことも多々あります。 実際には、モデルルームのような生活など実現しません。喜んで大きなベッドを買ってみたものの、いざ寝室に入れてみるとスペースを取りすぎてゆとりなど生まれない、という状況に陥るのはよく聞く話です。イメージ戦略に踊らされると、実際に生活したときにどうなるかの想像力がなくなってしまいます。その結果、無駄の多い住宅が誕生するのです。 もちろん、これらのコストは、かかればかかるほど住宅業者の懐に入るようになっています。こうして高い輸入住宅が実現するのです。モデルハウスを2000万円相当で建て、消費者の生活に近いような家具をそろえて展示すれば、住宅の価格はもっと下がるでしょう。ムリ・ムダ・ムラはいくらでも削れます。 けれども、コスト削減をはかればその分業者の利益が減るので、本当は不要のオプションなどもつけて、1億円の住宅を2000万円の支払能力しかない人でも手に入れられるような錯覚を起こさせることに躍起になるわけです。 考えれば考えるほど、通常のサギ商法との違いが私には分かりません。 けれども、国の外郭団体やマスコミの子会社が、このような方法でモデルハウスを運営しても誰も何も文句を言いません。行政指導もないので、住宅業界は完全に無法状態になってしまっています。 このような行為が公然と行われている理由は、住宅の不動産価値を金融機関はまったく審査せず、供給業者のつけた価格をもとに融資承認をしてきたことです。 不当なプライスコントロールがなくなれば、日本の住宅はもっと安くていいものを提供できます。それを業界の人間も分かっていますが、実現してしまえば自分たちの儲けが少なくなるのでやらないだけなのです。これは、全く賃貸住宅業界も同じです。
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