(image)  日本の不動産業界では「手離れのいいこと」が重視されてきました。資産として長期保有するのではなく、低い価値の不動産を高額で売り抜けし、その後始末をしないことで利益を上げてきました。 バブル期は、午前中は5億だった物件が、数時間で転売を重ね、夕方には10億になっていたという話があります。このころ、不動産は「住宅」ではなく、富を得るための道具として扱われていました。それを業界の人間が率先して行っていたのですから、住宅や不動産に対する考えの貧しさを物語っています。 このころは、一般の人も30代40代でマンションを買い、50代60代で一戸建てを買う、という具合に洋服を着替えるような感覚で住宅を住み替えていました。やがて手放す物件に愛着がもてないのは当然です。 「いつか買い換えるから」という理由で安易にマンションを買ってしまった人は、バブル崩壊後多額のローンを支払うことになり、引っ越す余裕などなくなってしまいました。2DKのマンションに住んでいる一家が、子供部屋を確保したら父親の寝る場所がなくなり、台所で寝起きしているケースもあるそうです。とても先進国で起きている出来事だとは思えません。 それを一層悪くしたのが、不動産金融と建設金融です。建物自体の価値をあまり見ずに、土地の担保価値と個人所得に根拠をおく融資を実施してきたため、欧米のようにしっかりとした建物の資産評価が欠落していたのです。オーナーが金融機関に返済できなくなれば、不動産を取り上げてなおかつ不足分は個人の責任として返済を迫ります。日本では、あまりにも「建物」の価値が軽んじられています。 こんなことがまかり通っているのは、世界中で日本だけです。 欧米では人ではなく、建物の価値にローンがつくことになっています。これを本当の不動産担保融資・モーゲージローンといいますが、金融機関への返済が苦しくなったときには、家を手放せばローンを払う必要はなくなります。手放しても残債が追いかけてくる事態は免れるのです。残念なことに、これは世界の常識ですが日本では非常識とされています。 融資をする側も、建物の資産価値が下落しないよう、審査の段階で建物の価値と不動産運用の内容をしっかり調査してから融資を決めます。資産評価の高い住宅でなければ、多額の貸し付けはできません。将来的に資産価値があるとプロに認められた建物とは、これからもずっと20年も30年も人々が住みたくなるような建物です。 欧米と比較すると、日本の建設も金融も、まだ成然していないと考えられます。家族が長く住めるような家づくりを目指して、住宅業界の人間は考え方を軌道修正していかなければなりません。
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