(image)  欧米諸国では、国民の豊かな住生活を実現してきました。 イギリスでは、18世紀に建てられた住宅が、今でも共同住宅やホテルに形を変えて街に息づいています。古い住宅を直しながら、とても大切に愛情をかけて街ぐるみで守っているのです。 これが住まいの在り方だと私は思います。住民も住宅に関わる業者も国も一緒になって、住まいは守り受け継いでいくものなのです。 イギリスには、500年ぐらい前からリースホールドという制度があります。リースホールドとは和訳すると「定期借地権」となります。 日本にも定期借地権はあります。土地を貸して、地主が借地人から地代を手に入れるという仕組みはイギリスと同じです。しかし、同じ制度であっても、日本とイギリスでは住宅環境の形成においてはまったく反対の結果が出ています。 イギリスはリースホールドを都市・住宅開発に積極的に活かしてきました。建てて100年目になると、リースした土地は資産価値の高い建築物が建ったままの状態で、地主に返還されます。この不動産を再び賃貸する場合には、地主は当初の地代と比べて10借近い家賃を手に入れることになります。これがイギリスの地主さんが子々孫々まで働かずに、不動産収入で豊かな生活を確保できた方法なのです。 一方、日本の定期借地権は、借地人は50年たったら地主さんに更地にして借地を返さなければならないことになっています。どんなにいい建物を建てたとしても、壊さなければならないのです。そこには恒久的な都市を建設しようという考えなどありません。スクラップ&ビルドは、この日本式定期借地の制度がある限り、なくならないでしょう。 そもそも、日本の定期借地権つき住宅地開発は、住宅業者が土地の50年利用を地主さんに約束して、住宅を建てて、売り逃げを目的としたものです。けっして地主の利益を考えたものではありません。 現在の高い地価を前提にした住宅の販売方法だと、一般の人はとても買えません。そこで、住宅価格を一般消費者の購入できる範囲内に抑えるために、借地という手段をとっているのです。建物だけなら、何とか一般のサラリーマンでも手は届きます。 けれども、せっかく買った物件も50年後には返さなければなりません。30代で買った人が80歳まで長生きをしたとすれば、どうなるのでしょう。穏やかな老後の生活を送っているのに、ある日突然「土地を戻して欲しい」と言われたら更地にして返さなければなりません。その費用は、もちろん自分の出費です。 50年間地代を払い続け、返すときに建物を解体し、新しい住居に移ることを考えると、その費用は決して安いとはいえません。せめて100年の期限があるのなら子供や孫に残せるでしょうが、それもできなくなっています。つまり、土地を借りる人は、何も残らないものに対して延々と投資することになります。これでは、あまりにもむなしいではありませんか。 50年後に返ってきた土地は資産価値が上がっているわけでも何でもありません。その地域の地価が下がっていれば、今度は50年前よりも安い値段で土地を貸すことになります。イギリスのように立派な建物が自分のものになって、それをまた高い賃料で貸すこともできないのです。 このように、日本の定期借地権は、地主さんにとっても借りて住む人にとっても、何もメリットを生み出さないのです。それどころか、街は50年単位で姿を変え、膨大な建築産業廃棄物を生み出し続けていくだけです。どこかで歯止めをかけないと、日本という国は住まいによって滅ぼされてしまいます。 イギリスには100年も200年ももつ住宅を作って人に貸すりースホールドといういいお手本があるのに、なぜこの制度を取り入れないのか、私には日本の制度をつくる人たちの考えが不思議でなりません。ここで1つ重要なポイントは、住宅は20年や30年でなく、100年も200年も保つ丈夫な建物を作ることです。日本の鉄骨や木造のアパートが50年も100年も保つとは考えられません。これは十分注意が必要です。
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