戦場の空気はそれだけ鋭利であり、
初陣に立つ新兵にとってはそれが最大の敵と言っても良いかも知れない。
ようやくと脳に問題が浸透し始めたのは時間も半分が過ぎた頃だったと思う。
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何度も繰り返すようだが、宅建試験は120分で50問を解く必要がある。
1問あたり2.4分。
前述の「難文と引っかけこそが宅建試験の本質」だとすると、
問題を解く順番をもこの戦の勝敗に色濃く影を落とす。
そして、この問題を解く順番だが、多くの参考書にも謳われるように
「宅建業法から始めに手をつけること」
が「常套手段」と言われている。
何故かと言えばそれは「最も簡単に正答を得られる分野だから」
問題用紙を配られ、一ページ目からパラパラと挑むのであれば、初めに解かなくてはいけないのは民法を含む権利関係となってしまう。
つまり一般的には難しいとされている民法から手を付け、思い悩むうちにタイムオーバー。
という「まずい戦」を避けるための初歩の戦法。
いくさの「い」。
得点源とされる宅建業をサクサク解いて流れに乗り、
敵城を一気に落とす!
これには俺も同意出来る点があるには、ある。
しかし。
ほぅそんなものかと鵜呑みにし、初戦に臨んだ2017年に手痛い敗戦を喫した俺にハッキリと分ったことは
「実戦の空気は模擬戦とは比べるべくも無い」
という事だった。
当時、セオリー通り宅建業法より攻めた俺は明らかに浮足立っていた。
問題を読むも、どこかソゾロで脳に入ってこないのだ!
戦場の空気はそれだけ鋭利であり、初陣に立つ新兵にとってはそれが最大の敵と言っても良いかも知れない。
ようやくと脳に問題が浸透し始めたのは時間も半分が過ぎた頃だったと思う。
それは、積み重ねた時間が未熟だった事も有ったのだろうが。
なので2度目の実戦を迎えるにあたり、俺は作戦を変えた。
まずは「法令上の制限」から攻める作戦を採用したのだ!
こんな事はどこの参考書にも載っていないので話半分で聴いてほしいが、
ともかく「法令上の制限」特に建築基準法から攻めることを決めていた。
何故かと言えば「法令上の制限」の中でも
建築基準法は「知っているか、知っていないか」
が大きなウェイトを占める問題が出される。
文章に罠を仕掛けるよりも単純に「知識を問う」問題が多いのが特徴だ。
つまり問題を読み、知っていればオートマチックに腕が動き、
知らなければ後は25%の可能性を選択すれば良い。
神経を削って文章を読み込む必要性が低いのだ!
返す刀で次は「税金その他」を攻める!
これはもっとハッキリ「知識を問う」傾向が強い。
知っていれば正中面から袈裟でバサリと切り捨て、知らなければ潔く賽を振る!
1か?
2か!
3か?
4か!
脳に蓄積されなかったデータは掘り起こしようが無い!
知らない知識に時間を掛けても正答は永遠に出て来ないから適当に選べ!バカヤロー!
という、この清々しさ!
これが戦じゃーごりゃー!
建築基準法から税法へ。
2~3問から2~3問と合計6問程度の潔い戦をこなす。
この6問をこなす事で戦場の空気に慣れ、脳に問題が浸透しだすのだ。
こうして己のゾーンに入った頃合いを見て、
最も攻めやすい宅建業法へと一気に攻め込む!
血刀を振り回し阿修羅と化し、情け容赦なく業法を切りまくる!
そこかしこ仕掛けられた罠は冷静に踏みつぶし、ともかくも「業法皆殺し」を狙う!
その後は血刀を拭い、ゆっくりと得意な民法を含む「権利関係」を攻略すれば良い。
俺は事前にこのような作戦を立て、模擬戦ではひたすらにこのルートに沿って敵城を攻略した。
先ほども言ったように、この「攻城作戦」を万人におススメをするわけでは無いが、
覚えていて欲しいのは
「宅建業法より攻め入る」という判で押したようなルート上には伏兵が潜んでいるリスクがある。
ということだ。
自分なりの攻城戦を模擬試験で繰り返すことを強くお勧めしたい。
さて、このような作戦を立てた俺はひたすらに模擬戦に打ち込む一方、
その結果から得手不得手な問題の把握と正答率の向上に努めた。
得意なのは物権変動、民法全般、借地借家法、国土法、都市計画法、農地法、
不得意なのは宅建業法全般と、建築基準法。
これらを鑑みひたすらに過去問を繰り返した。
過去問は、実戦形式の4肢の中から1肢を選ぶ形式の物は、ダメだ。
過去問をやるならば「一問一答」にコダワルこと。
いや、もっとハッキリと言い切ろう。
一問一答以外は、時間の無駄だ。
過去問を繰り返す鍛錬を積む際は判断する為の「ヒント」は極力少ない方が良く、
過去問ままの4肢択一だと1肢の選択で正答が出来てしまう。
つまり、正答以外の肢に振れる機会が極端に減ってしまう。
この状態では、ほんの少し日本語をいじられただけで罠にハマってしまうのだ!
なので、一問一答。
これを極めれば「リズム」で正答の判断が出来るようになる。
「リズム」の中に、違和感を感じる事が出来るようになるのだ。
沢山の肢に触れることで宅建試験の文章に対する経験が脳にメモリーされ、たとえ答えに確信は得られない問題でも感覚で正答に辿り着ける「確率が上がる」
それは、相手を見ずとも抜刀で両断する感覚に似ているのかも知れない。
過去問をひたすらに繰り返す。ひたすらに繰り返す。
待ち時間、移動時間、短いトイレの間、テレビのニュースとニュースの間・・・
ともかくも、問答無用に、何度も何度も過去問を繰り返す。
そうして試験前日までに一問一答の回数は6500問を数えていた。
過去の200時間と、今回の「戦いを呼び起こす」ための50時間。
攻城作戦。
そして一問一答6500回の経験値。
この頃になると模擬戦でのスコアはとっくに合格ラインを超えていた。
空気で相手との間合いを見切り、
切り捨てる事が出来るようになっていた。
ただ、それだけで俺が満足などするハズも無い。
味あわせられた屈辱に起因する、宅建試験に対する憤怒。
目標はただ一つ!
ただの勝利では無く、骨を砕く勝利。
宅建の粉砕骨折!!!!!
どこまで行っても安心などしない!
かんっぜんにっ!
宅建の息の根を止めるまでは!!
もーう♪オコだぞっ