「太郎さん、そろそろ3月の対策に取り組もうか」
ニコポン光学勤務の入居者6名が3月には契約更新を迎えます。
そのうち何人かは早期退職する事になっています。
翌日、太郎さんはタヌキメイトの香森店長と相談しました。
「店長、来年3月に早期退職される人が何人いるか調べて頂けますか」
「そうですね。もう早期退職も締め切られていると思うので入居者に聞いてみます」
「それと、家賃補助が3月で打ち切られるので契約更新を希望する方が何人いるか聞いてみてください」
「はい、それはお伺い書ということで聞いてみます」
「ところで太郎さん、契約更新される際の新しい家賃は幾らに設定しますか?」
ニコポン光学は現在家賃の3割を補助しているので7.5万円の家賃のうち補助額額は2.25万円になります。すなわち、入居者の実払い家賃は5.25万円となります。(家賃は共益費込み)
「現在の他の部屋の家賃は6.5万円なのでこれと同じ額にします」
「はい、それならば地域相場より少し高いだけですね。他のアパートの方が家賃が安くても初期費用の支払いや引っ越しの手間を考えると契約更新してもらえると思いますよ。それじゃその条件で聞いてみましょう」
「でも、太郎さん家賃を下げても経営は大丈夫ですか?」
太郎さんは香森店長からこう言われ、心配になってきました。
そこで帰宅してから来年4月に満室になった場合の月間収益を予測してみました。
収入 家賃 6.5万×8室=52万円
支出 タヌキメイト支払い(家賃の10%) 5.2万円
ローン支払い38万円
手残り 8.8万円(月間)
以前の太郎さんだったら「8.8万円も残っている」といって喜びましたが、今は違います。
何故ならこの数字は税金が含まれていません。税金(所得税、住民税、固定資産税)が昨年実績では月額5万円支払っているのでそれを差し引くと3.8万円しか残りません。
「4月に満室になったとして家賃が52万円入っても残るのはわずか3.8万円だあ。これは大変だ」
太郎さんは困ってしまいましたが、そうかと言って家賃を上げると前回の様に空室が長期間埋まらなくなるのでそれは出来ません。
そして、1週間後にタヌキメイトから結果を知らせる電話が入りました。
つづく